【9月11日 AFP】主にサルに感染するサル・マラリアは人に感染し死に至る場合もある――マレーシアの研究者らが、9日の医学誌「Clinical Infectious Diseases」にこのような研究結果を発表した。

 マレーシア・サラワク大学(University Malaysia Sarawak)の研究チームは、主に東南アジアのサルに感染すると考えられてきたマラリア株「P. knowlesi」について、臨床および研究所でのデータを詳しく分析した。その結果、この株はマレーシアとその周辺の国々で広く人に感染していることがわかった。

 研究で「P. knowlesi」がマラリアの5つめの株であり、顕微鏡で観察すると良性の「P. malariae」とよく似ているが、人を死に至らしめる可能性があることも確認された。「P. knowlesi」は24時間ごとに増殖するために急速に病原性が高くなるおそれがあるという。

 研究チームが、サラワク州カピット(Kapit)の病院に入院したマラリア患者150人について、分子検出法を用いてマラリア株を検査したところ、「P. knowlesi」の感染者が3分の2以上と最も多かった。

 この株の感染者の多くは、一般的なマラリア治療であるクロロキンやプリマキンがよく効いたが、患者10人のうち、1人が合併症を起こし2人が死亡したという。研究チームは、「P. knowlesi」の致死率は、マラリアで最も危険とされる「P. falciparum」株と同程度の2%を少し下回る程度と考えているが、これまでに研究されたデータが少ないため、その精度を判断するのは困難だと強調している。

 世界では年間100万人以上がマラリアで死亡している。研究チームのBalbir Singh氏は、欧米から東南アジアを訪れる旅行者も多いため、「P. knowlesi」株がさらに広がるおそれもあると警告している。(c)AFP