【10月3日 東方新報】10月1日から施行された「インターネットプラットフォーム企業の税務関連情報報告に関する規定」により、出前アプリや宅配サービスを運営する会社は、そこで働く配達員や登録スタッフの身元や収入を国に正式に報告することになる。この仕組みが始まることで、宅配や出前で働く人たちの税金にどのような影響が出るのかが注目されている。

吉林財経大学(Jilin University of Finance and Economics)の張巍(Zhang Wei)教授は、配送や運輸、掃除や介護などの家事代行サービスを含む、生活関連の労務サービスに従事する人びとは、法に基づき税制優遇を受けたり納税不要となったりする場合、収入情報を報告する必要がないと説明する。したがって、日常業務や収入、税負担には直接的な変化はなく、今回の規定で配送員の税負担が増えることはないという。

一方で、国家税務総局は規定の実施に合わせ、個人所得税の源泉徴収方法に関する公告を発表した。新たに導入される方式では、配送員を含むプラットフォーム従事者の労務報酬に対し、収入の20%と月額5000元(約10万3306円)を控除した後、3%から45%までの7段階累進税率を適用して源泉徴収・予定納税額を計算する。この「累進的源泉徴収法」は、従来の「収入ごとに800元(約1万6528円)または20%を控除し、20〜40%課税する方式」と比べて控除額が大きく、適用税率も低いため有利とされる。

中国政法大学(China University of Political Science and Law)の施正文(Shi Zhangwen)教授によれば、この方式を適用すると月収6250元(約12万9132円)以下の配送員は予定納税の必要がなく、仮に一時的に少額の税が源泉徴収されても、年末の確定申告で教育や扶養、住宅賃貸などの追加控除を申告すれば還付を受けられる。年間ベースでみれば、年収12万元(約247万9344円)以下の配送員はほとんどの場合、所得税を納める必要がなくなる。

さらに公告では付加価値税や附加税の扱いも明確化された。プラットフォーム従事者が得るサービス収入については、小規模納税者に適用される「月間売上10万元(約206万6120円)以下の付加価値税免税」が利用できるため、毎回申告して税を納める必要がなく、税負担は一段と軽くなる。

ただし一部の配送員は、プラットフォーム企業が源泉徴収を名目に過剰な費用を差し引き、実質的に税負担を転嫁するのではないかと懸念している。これに対し、国家税務総局は「いかなる名目でも従事者に追加費用を課してはならない」と強調。税務上の違反行為が確認されれば法に基づき厳しく取り締まり、従事者の権益を保護するとしている。(c)東方新報/AFPBB News