【9月14日 東方新報】2025世界ヒューマノイドロボット競技大会が8月14日、北京国家スピードスケート館で開幕を迎えた。本大会の特徴は、単なるロボット競技の祭典ではなく、5G-A(5G-Advanced)と具身型AI(エンボディド・インテリジェンス)の融合を実証する未来型実験場としての側面が強い点だ。会場では世界各国から集まったヒューマノイド(人型)ロボットが、人間と協働しながらさまざまな競技に挑む様子が見られる。

大会運営団体である北京北奥集団(BEIAO)の張洪峰(Zhang Hongfeng)副総経理によれば、1万2千平方メートルに及ぶ会場内には陸上トラックやサッカー場に加え、工場倉庫や病院薬局、ホテルなど実社会を模した多様な環境が再現されている。サッカー競技では十数カ国のチームが5対5の試合を行い、ロボットの駆動音と選手たちの熱い声援が交錯する光景が見られた。

このような人間とロボットの協働競技は、従来の通信ネットワークとは異なる新たな技術的課題を提起している。大会運営責任者の王永皓(Wang Yonghao)氏は、ロボット制御には超大帯域幅による大量データ転送、数ミリ秒単位の超低遅延通信、数百台規模の同時接続管理という三つの核心要件が必要だと指摘する。特にロボットのセンサーやカメラが生成するデータをリアルタイムで処理するためには、人間向けの通信仕様では不十分だという。

これに対応するため、中国聯合通信(チャイナユニコム、China Unicom)北京の秦洋(Qin Yang)副総経理は、5G-Aネットワークを基盤とした次世代通信インフラの構築を進めていると説明する。会場全体に展開された5G-Aネットワークは、AI演算能力と光通信の超低遅延特性を融合させ、従来の「人間中心」の設計思想から「人間+具身型AI共生」型への転換を図っている。この技術基盤により、ロボットと人間がシームレスに連携する競技環境が実現可能となる。

本大会は単なる競技の場ではなく、5G-AとAI技術の実証の場としての意義も大きい。王永皓氏は、ここで得られた知見を基に、今後さらに多様な応用シーンへの展開を視野に入れていると語る。産業用ロボットやサービスロボットなど、さまざまな分野での技術応用が期待される中、本大会は未来の人間とAIの共生社会を予見させる重要な一歩となるだろう。(c)東方新報/AFPBB News