トランスジェンダー活動家が英議会に集結、「女性用トイレ禁止」に抗議
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【6月26日 AFP】トランスジェンダーの人々とその支援者ら数百人が25日、英議会に集結し、トイレなどの一部の男女別スペースへの立ち入りを禁止する新たなガイドラインに反対するよう議員らに訴えた。
参加者たちは議会に入り地元選出の議員に話したり、メモを残したりしようと炎天下の中、列を作った。中には、水色、ピンク、白のトランスジェンダー旗を掲げる人もいた。
マンチェスターから駆け付けたトランスジェンダー女性のジェイド・ロペスさん(27)は、「議員と話せるといいのだが…トランスジェンダーコミュニティーは、多くの憎悪にさらされ、私たちに関する意思決定プロセスから排除されてきた」とAFPに語った。
「パートナーもトランスジェンダーで、病院に頻繁に通う必要があり、彼女のことが本当に心配だ」「現在、全国の看護師がトランスジェンダーの患者をどこに配置すればいいのか分からず、廊下に放置している」と続けた。
ロペスさんは公務員で、3年前に中米エルサルバドルからやって来たという。
英最高裁は4月、法律における「女性」の定義は生物学的性別に基づくとの判決を裁判官5人の全員一致で下した。
その数日後、平等人権委員会(EHRC)は、トランスジェンダー女性がトイレ、更衣室、病院の一部エリアなどの「女性専用サービス」を利用するのを禁止する内容を含む新たな暫定ガイドラインを発表した。
例えば、トランスジェンダー女性は女性専用クラブやレズビアンクラブに加入できなくなり、イングランドとスコットランドの女子サッカー大会への出場も禁止される。
25日のデモを組織した「トランスプラス連帯同盟」は、このガイドラインを「包括的で後退的」と呼び、最高裁判決よりもさらに踏み込んだものだと指摘。EHRCに対し、最終版を政府に提出する前にガイドラインを修正するよう求めている。
トランスジェンダーでノンバイナリーのキャリー・マックス・イーストンさん(31)は、与党・労働党のジェレミー・コービン前党首と面会し、「このガイドラインが公表されて以来、信じられないほど困難な時期が続いている」と訴えようとしていた。
支援を表明するために駆けつけた歌手で俳優のケイト・ナッシュさんは、トランスジェンダーコミュニティーは人口の「ごくわずかな割合」を占めているにすぎないが、「多くの憎悪と過剰な注目、そして執着を向けられている」とAFPに語った。
「シスジェンダーの女性を守るために他の脆弱(ぜいじゃく)なグループの権利を踏みにじるなど、私には理解できない」と訴えた。(c)AFP