【1月23日 東方新報】春節(旧正月、Lunar New Year)が近づく中、銀行間での年末賞与争奪戦が激化しているが、銀行の視線は「お年玉」にも向けられている。多くの銀行が子ども向けの特別な貯金通帳を導入しており、カラフルなデザインや人気キャラクターを使った仕様が特徴だ。数十元(数百円)から口座を開設できるが、金利については通常の定期預金と特に差はない。こうした商品は20年以上前から存在していたが、差別化が不十分だったため広く普及するには至らなかった。銀行が注力する子ども向け金融市場の今後の展開に注目が集まる。

 銀行が「お年玉」をターゲットにするには、まず親子に口座を開設させる必要がある。現在、東陽農商銀行、福建海峡銀行、大寧農商銀行などが、子どもや青少年向けの専用通帳を提供している。

 これらの通帳は、鮮やかな色彩や人気キャラクター、アニメのイラストなどが特徴で、子どもたちの興味を引きつける工夫がされている。たとえば、大寧農商銀行が提供する「親子通帳」は16歳以下を対象にしており、500元(約1万695円)から開設でき、子どもの成長記録を残す機能も備えている。さらに、界首農商銀行では、50元(約1069円)から利用可能な「成長記録通帳」を提供しており、貯蓄を通じて子どもたちの金銭感覚を養うことを目的としている。

 銀行は、口座開設を促進するために映画鑑賞券や貯金箱などの景品を提供しており、1万元(約21万3914円)以上の預金で特典が付く場合もある。銀行業界では、こうした通帳を子どもたちに金融教育を提供する手段と位置づけており、親からの支持を集めている。

 銀行の専門家である唐樹源(Tang Shuyuan)氏は、家庭における子どもの金融教育の需要が増しており、銀行が子ども用通帳を通じてこのニーズを満たし、預金を増加させるとともに、子どもに金銭感覚を身につけさせる場を提供していると指摘する。

 子ども向け口座は、安全性を確保するため運用が制限されており、定期預金や普通預金の購入に限られている。多くの銀行で、開設手続きには法定代理人(親)が必要であり、身分証や戸籍証明書の提出が求められる。

 しかし、子ども向け通帳の利率は、通常の定期預金と大きな差はない。例えば、文成農商銀行の3年定期預金の利率は2.1パーセントで、50元から開設可能とされる。顧客マネージャーによると、子ども用通帳は教育的な目的が強く、特に金利で差別化する商品ではない。

 国内の銀行が子ども向け金融サービスに参入したのは2000年頃だが、同質化やサービスの目新しさ不足から広がりを見せなかった。専門家は、子どもの成長に合わせた商品やサービスを提供し、金融リテラシーを向上させることが重要だと指摘している。例えば、幼児期には貯金箱や通帳を通じて簡単な金銭管理の概念を教え、小学生以上にはポイント制の貯金サービスやオンラインの金融教育プログラムを提供することが提案されている。

 中学以上の子どもには、低リスクの金融商品を通じて、より高度な金融教育を行うべきだとされている。銀行は、子どもに貯金や資産管理の習慣をつけさせることで、将来的に優良顧客を育てる狙いがある。

 銀行が子ども向け金融サービスをどのように進化させていくのか、今後の展開に注目が集まる。(c)東方新報/AFPBB News