【6月3日 AFP】1989年6月4日に中国・北京の天安門広場(Tiananmen Square)で民主化を要求する学生運動を主導した王丹(Wang Dan)氏らが2日、米ニューヨークで「中国人の民主化の夢」を記憶するための記念館を開設した。

 マンハッタン(Manhattan)のミッドタウンにある目立たない建物のこぢんまりしたオフィススペースには、天安門事件の写真や映像、報道記事、ポスター、書簡、横断幕などが展示されている。

 民主化を要求するデモ参加者の少なくとも1000人が当局に殺害された天安門事件について、王氏はAFPに対し、「1989年の出来事は、中国だけでなく世界中に影響を与えた」「人類の文明に対する習近平(Xi Jinping)政権による脅威に誰もが気付き始めた今、1989年のことを思い起こすべきだ」と話した。

 王氏は中国で数年間服役した後、1998年に米国に亡命。ハーバード大学(Harvard University)で歴史学の博士号を取得した。

 王氏は「私たちは、命を犠牲にした人々をしのび、あの頃に中国人が抱いていた民主化の夢を思い出すべきだ」と主張。

 さらに「米国にいても、中国政府からの圧力や脅威は感じる」「1989年の出来事は過去だけでなく、今と未来にもつながっている」として、世界は「中国共産党の本性を思い出すべきだ」と訴えた。

 香港の天安門事件記念館は2021年に閉鎖されており、マンハッタンの施設が天安門事件に関する世界で唯一の常設記念館となる。落成式では、中国の著名な評論家や米国の政治家数人がスピーチを行った。(c)AFP