【5月6日 AFP】ベトナム共産党政権は4日、オーストラリアに対し、旧南ベトナム(ベトナム共和国)国旗があしらわれているとして記念硬貨の流通停止を求めた。豪政府は翌5日、ベトナム側の主張を否定した。

 王立オーストラリア造幣局(Royal Australian Mint)は4月、南ベトナムからの豪軍撤退50周年を記念して2豪ドルの金貨と銀貨セットを8万5000組発行した。

 ベトナム政府は、黄色地に赤3本線の南ベトナム国旗の使用を禁止している。

 ベトナム外務省のファム・トゥ・ハン(Pham Thu Hang)副報道官は4日、「王立オーストラリア造幣局と(郵便公社)オーストラリア・ポスト(Australia Post)が、もはや存在しない政権の黄色い旗をあしらった硬貨を発行したのを遺憾に思う。強く抗議する」と政府の公式フェイスブック(Facebook)ページに投稿。豪政府に流通停止を要請したと明らかにした。

 オーストラリア造幣局は5日、「記念硬貨のデザインに反映されているのは、1968年に取り入れられたベトナム従軍記章など、ベトナム戦争(Vietnam War)に参加したオーストラリア兵に授与された従軍記章の色」であり、「豪政府は、ベトナム共和国の国旗を認めていない」とAFPに説明した。

 豪戦没者追悼サイトによると、ベトナム戦争には豪兵6万人以上が従軍。523人が死亡、約2400人が負傷した。(c)AFP