【3月8日 AFP】タイで、厳格な不敬罪の廃止を求めて女性2人が行っているハンガーストライキが8日、50日目に入った。だが、総選挙が近いことや政府が反体制派の取り締まりを強化していることなどから、ハンストへの支持は広がっていない。

 ターンタワン・トゥアトゥラーノン(Tantawan Tuatulanon)さん(21)とオラワン・プーポン(Orawan Phupong)さん(23)は1月18日、野党に対し不敬罪の廃止を支持するよう求めてハンストを開始した。

 だが、著名な政治家は迫る総選挙に集中しており、また活動家の多くが、支持を表明すれば自らも不敬罪で訴追されることを恐れ、2人への賛同は集まっていない。

 不敬罪の問題に詳しい司法支援団体「タイ人権弁護士センター(TLHR)」のクリッサダーン・ヌッタジャラット氏は、「当初は多くの人が集まっていたが、ハンストが続くにつれ減ってきた」と述べた。今では病院の外にいる2人の支援者よりもジャーナリストの数が多くなっている。

 同氏によると、2人は先月、体調が悪化したため保釈され現在は入院中。意識はあり、点滴を受けている。

 TLHRによると、2020年7月に民主派抗議デモが巻き起こって以来、国王や王室メンバーに対する「中傷、侮辱、脅迫」を禁じた「刑法112条」が200人以上に適用された。同法の罰則は15年以下の禁錮刑と定められている。

 人権団体などは、反体制派を弾圧するために「不敬罪」が乱用されていると批判している。重罰が科されることもあり、2021年には女性の被告が禁錮43年に処された。また未成年であっても、少なくとも17人が現在不敬罪に問われている。(c)AFP/Rose TROUP BUCHANAN