【2月3日 AFP】ブラジルは1日、退役空母「サンパウロ(NAE Sau Paulo)」を海に沈めて処分する方針を明らかにした。環境保護団体は「3万トンの有害物質」を含んでおり、汚染源になると批判している。

 ブラジルは昨年、トルコの企業にサンパウロの解体を発注したが、8月に解体許可を取り消された。サンパウロは帰還したが、環境リスクの大きさを理由に入港を認められず、大西洋を数か月さまよっていた。

 浮力が低下しているため制御できない状態での沈没が避けられない状況で、えい航のリスクが高まっている。このため制御された状態での計画的な沈没による廃棄以外、選択肢はないという。

 ブラジル海軍によると、サンパウロは、同国沖350キロの地点にえい航された。同海域は水深が約5000メートルあり、処分するのに「最も安全」だという。処分の時期は明らかにしていない。

 環境保護団体は、船齢60年のサンパウロにはアスベスト、重金属などの有害物質が大量に含まれており、浸出すれば海洋の食物連鎖を脅かす恐れがあると非難している。

 仏環境団体「ロバンデボワ(Robin des Bois)」は、サンパウロを「3万トンの有害物質の塊」と呼んでいる。(c)AFP