【12月10日 AFP】米ペンシルベニア州のフィラデルフィア(Philadelphia)市警は8日、65年以上前に段ボール箱の中から遺体で見つかった少年の身元を最新のDNA鑑定と系図の分析によって特定したと発表した。

 フィラデルフィア市警のダニエル・アウトロー(Danielle Outlaw)本部長は会見で、少年はジョセフ・オーガスタス・ザレリ(Joseph Augustus Zarelli)ちゃんだと明らかにした。

 1957年2月、ジョセフちゃんはフィラデルフィアの雑木林で、段ボール箱の中で毛布にくるまれた状態で遺体で発見された。

 司法解剖で4~6歳と結論付けられたが、誰も自分の子だと名乗り出ず、多数の情報提供や手掛かりがあったにもかかわらず身元は特定できなかった。「段ボール箱少年」事件は、フィラデルフィアで最も有名な未解決殺人の一つとして2008年には小説の題材にもなっていた。

 ジョセフちゃんは当初、無縁墓地に埋葬されていたが、1990年代後半に掘り起こされ、DNA鑑定を実施した上で改めて埋葬され、墓碑には「米国の身元不明の子ども」と刻まれた。

 ジェイソン・スミス(Jason Smith)警部によると、この時のDNA鑑定では身元特定に至らず、法医学の技術が進んだことを受けて、2019年に再び遺骨が掘り起こされた。

 警察は鑑定結果をDNAのデータベースに入力し、系図の専門家の協力を得て母方の親族を特定。さらに実母を特定した上で、この女性が1953年に産んだ子どもの出生記録を発見し、ジョセフちゃんが1953年1月13日生まれだと突き止めた。

 記録には、父親の名前も記されており、親族のDNA鑑定により父親の身元も特定された。

 スミス氏は両親の名前は伏せたが、ジョセフちゃんには存命中の「きょうだいが何人も」いると述べた。

 アウトロー本部長は、ジョセフちゃんは「栄養失調だったとみられ、体には最近と過去に受けた外傷があった。この子が短い生涯で、誰も絶対に受けてはならないような恐怖を体験したのは明らかだ」と述べた。

 市警は、さまざまな点が明らかになったことで容疑者の特定につながるのではないかと期待している。(c)AFP