【12月10日 AFP】米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)が配信したドキュメンタリー番組「ハリー&メーガン(Harry & Meghan)」で、王室を離脱したヘンリー英王子(Prince Harry)と妻メーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)が英メディアを痛烈に批判したことを受け、同国各紙は9日、王子夫妻の主張はうそであり、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)に対する侮辱だと非難した。

 8日に配信された同番組の前半3話では、王子の幼少期や母ダイアナ元皇太子妃(Princess Diana)の死をめぐるメディアへの憤りに焦点が当てられた。王室に対する直接的な批判はほぼなかったが、王子は王室内に人種をめぐる無意識の偏見があったと非難。来週配信される後半3話では、王室を揺るがす新事実が暴露される可能性がある。

 各紙の9日の報道は、番組の内容に批判的なものが多かった。英大衆紙サン(Sun)は「意地悪ヘンリー」と題した記事を掲載。王子夫妻は「女王の遺産を汚し」、王子の父チャールズ国王(King Charles III)や兄ウィリアム皇太子(Prince William)を悲しませ、英国全体が人種差別的であるとのイメージを不当に植え付けたと書き立てた。

 各紙は、メーガン妃がエリザベス女王と初めて面会した際に行った会釈を再現したシーンをこぞって批判。メーガン妃はその中で、うやうやしい会釈をしてみせた上で、中世欧州の決闘を再現するショーを観賞しながらディナーを楽しむ米娯楽施設のようだったと語っていた。サンは「メーガン妃は王室をからかうために会釈を誇張し、王室の伝統を安っぽい米国の中世のチェーンになぞらえた」と非難した。

 王子夫妻と頻繁に対立してきた保守系大衆紙デーリー・メール(Daily Mail)は、「『女王の遺産への攻撃』に王室が怒り」との見出しで、20ページ近くを割いて同番組について報道。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)が国内の人種差別に拍車を掛け、最終的に王室から離脱する一因となったという王子夫妻の主張を「最も侮辱的な歪曲(わいきょく)」だとする批評家のコメントを伝えた。

 保守党のボブ・シーリー(Bob Seely)議員は8日夜、夫妻から王族の称号を剥奪する法案を提出する意向を表明している。

 一方、左派紙ガーディアン(Guardian)は夫妻を擁護する姿勢を見せ、王室は人種差別的な報道からメーガン妃を守らなかったとした王子の批判に焦点を当てた。(c)AFP/James PHEBY