【11月29日 AFP】カタール政府は29日、ドイツに液化天然ガス(LNG)を供給する初めての大規模契約を締結したと発表した。欧州はロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシア産ガスの代替調達先の確保を急いでいる。

 エネルギー担当国務相で、国営エネルギー企業「カタールエナジー(QatarEnergy)」の最高経営責任者(CEO)でもあるサアド・シェリダ・カアビ(Saad Sherida Al-Kaabi)氏は、2026年から少なくとも15年間、年に最大200万トンのLNGがドイツに供給されると述べるとともに、同社が独向けに他の契約交渉も進めていることを明らかにした。

 独に供給されるガスは、カタールエナジーと長期にわたって取引がある米コノコフィリップス(ConocoPhillips)が購入し、カタールのノースフィールドイースト(North Field East)輸出基地などから、独北部に建設中のブルンスビュッテル(Brunsbuttel)基地に向けて輸送される。

 今回の契約に向けた交渉は数か月に及んだ。カタール側は、業界への大規模投資を理由に長期契約を求める一方、ドイツがこれに難色を示していたためだ。

 カタールは先週、中国との27年契約の締結も発表。カタール側によると、ガス供給の契約期間としてはLNG業界史上最長だという。

 カタール産天然ガスの主要な輸出先はこれまで、日本、中国、韓国をはじめとするアジア諸国だったが、ロシアのウクライナ侵攻で供給不安が生じて以降、欧州諸国がカタールとの取引に意欲を示している。(c)AFP/Tim Witcher