【11月21日 AFP】フィリピン海軍は21日、自国の海域に落下したロケットのフェアリング(大気圏外到達後に切り離される覆い)を回収していたところ、中国海警局(沿岸警備隊)がこれを「力ずく」で奪ったと非難した。一方、中国政府は「友好的な話し合い」を経て引き渡しが行われたと主張している。

 フィリピン海軍高官によると、同軍のゴムボートが20日、「正体不明の浮遊物」を南シナ海(South China Sea)南沙諸島(スプラトリー諸島、Spratly Islands)のパグアサ島(Pag-asa Island、中国名:中業島、Thitu Island)の駐屯地に向かってえい航していたところ、中国海警局の船に行く手を「ふさがれた」という。

 続いて中国海警船は関係者を乗せたゴムボートを出し、「(比海軍の)ゴムボートに取り付けられたえい航索を切断し、力ずくでこの浮遊物を回収した」と比海軍高官は説明した。物体は中国側の船に載せられ、比軍は基地に戻ったという。

 比海軍の報道官は記者団に対し、この物体は、今月パラワン(Palawan)北部のブスアンガ(Busuanga)島で回収された中国製ロケットのフェアリングの残骸に似ていると述べた。

 中国外務省は21日、浮遊物について、同国が最近打ち上げたロケットのフェアリングの一部だと認めた一方で、「横取りと強奪」については否定。同省報道官は定例会見で、「現場で友好的な話し合いを行った上で、フィリピン側が中国側に浮遊物を返却した」と述べた。

 中国は過去にも、ロケット部品が制御不能のまま落下していることをめぐり、批判を受けている。7月には、フィリピン国内のスルー海(Sulu Sea)に中国ロケットの一部が落下。これを受けて米当局は中国政府に対し、危険を及ぼす恐れのある物体の落下に関する情報を共有していないと苦言を呈した。(c)AFP