【10月5日 CNS】中国でインプラント治療費の高騰が問題となっており、国家医療保障局は最近、「口腔インプラントの診療報酬および消耗品価格の特定管理に関する通知(草案)」を発表した。義歯の調達方法を改善して治療コストを抑え、料金の標準化を目指している

 北京市内の病院の歯科や歯科クリニックを調べたところ、治療法や義歯の種類により、費用にばらつきがある。米国や韓国製のインプラントの多くは1万元(約20万円)未満だが、スイス製は1万元を超えるものが多い。また、4本のインプラントを埋めるだけですべての人工の歯を支える治療法「ALL-ON-4」では、米国製を使用すると11万元(約224万円)に達する。ある患者は、インプラント治療に30万元(約610万円)以上を費やしたという。これは高級自動車BMWを1台購入できる費用に相当する。

 市民の生活水準の向上や社会の高齢化に伴いインプラントの需要は高まっているが、高額費用は悩みの種となっている。国家医療保障局は今回の通知で、省レベルで医療機関に「集中調達制度」を導入するよう指示。集中調達制度とは、企業に最低価格入札で競争させ、入札した企業から集中的に製品を調達する仕組みだ。各地でインプラント治療を行う医療機関のうち40%以上が制度を取り入れるよう求め、治療費に関する監督と指導を強化するとしている。

 証券アナリストで医療業界に詳しい劉暉(Liu Hui)氏は「インプラント治療を行う医療機関の80%以上を民間が占めており、多くの民間機関も集中調達制度に参加することになる。制度を導入しない医療機関も治療費は監督の対象となる上、市場の競争原理から同様の水準に下がるだろう」と予測する。また、「診断病名」と「医療サービス」との組み合わせの分類をもとに医療費を決める計算方式「診断群分類包括評価(DRG)」を導入すれば、インプラント費用全体のコストを低減できると指摘している。

 国家医療保障局の陳金甫(Chen Jinfu)副局長は「今年上半期、既に各地で集中調達制度が進行している」と説明している。(c)CNS/JCM/AFPBB News