【9月30日 AFP】南極のオーストラリア観測基地に滞在する女性隊員が、「搾取的」基地風土とセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)に直面しているとする政府報告書が30日、公表された。

 報告書によると、自分と寝るよう求める不適切な性的なジョークややじを飛ばすといったものから、基地内で他者から見える場所にポルノを置くなど問題行為は多岐にわたる。

 調査は告発を受け、政府主導で行われた。

 調査を担当した男女平等問題の専門家メレディス・ナッシュ(Meredith Nash)氏は、隊員らが基地の風土が同性愛者嫌悪的で、女性を「物扱い」していると指摘していると述べた。

 隊員らは最長1年の勤務期間中、極限の環境の中で働きながら、狭い場所で共同生活を送らなければならない。

 女性隊員の比率は低く、特に冬になると減る。聞き取りをした複数の隊員は、基地には「広範囲に及ぶ軽いレベルのセクハラ文化がまん延している」と説明している。

 女性隊員は野外活動の際に、生理中であることを隠さなければならないというプレッシャーを感じたとも報告されている。

 タニア・プリバセク(Tanya Plibersek)環境相は30日、「この件を初めて聞き、証言を読み、衝撃を受けるとともに失望した」と述べ「報告書にあるような扱いは、当時も今も許されない」と批判した。

 オーストラリア南極局(ADD)のキム・エリス(Kim Ellis)局長は、報告書を受け、多様性、公平性、包摂性の専門家に協力を要請したと述べた。(c)AFP