【9月28日 AFP】ドイツ野党の中道右派「キリスト教民主同盟(CDU)」のフリードリヒ・メルツ(Friedrich Merz)党首は27日、ウクライナ難民が「ウエルフェア・ツーリズム(社会保障目的の移民)」を行っていると非難したことを謝罪した。

 メルツ氏は今年、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)前首相からCDU党首を引き継いだ。

 メルツ氏は独紙ビルト(Bild)系列のテレビ局のインタビューで26日夜、ウクライナ難民に対する特別待遇が「無視できないゆがみ」を生んでいると指摘。「ウクライナ難民の間で、ドイツに行ってはウクライナに戻る、ドイツに行ってはウクライナに戻るという、ウエルフェア・ツーリズムが行われている」「大勢が制度を悪用している」と主張した。

 この発言に非難が殺到したことを受け、メルツ氏は27日、ツイッター(Twitter)で謝罪文を発表。「厳しい運命に直面しているウクライナ難民を非難するつもりは毛頭ない。私が選んだ言葉で気分を害されたなら、心から謝罪する」として、「ウエルフェア・ツーリズム」という言葉を使ったことを後悔しているとした。

 メルツ氏の発言をめぐっては、ナンシー・フェーザー(Nancy Faeser)内務・国家相が「(ロシアのウラジーミル・)プーチン(Vladimir Putin)大統領の爆弾や戦車から逃れてきたウクライナの女性や子どもを政治的主張に利用するとは恥ずべきことだ」とツイッターで非難した。

 ウクライナのアンドリー・メルニク(Andriy Melnyk)駐独大使も「ウクライナの戦争避難民が『ウエルフェア・ツーリズム』を行っているというたわ言がどこから出てくるのか」とツイートした。

 ロシアが2月にウクライナに対する軍事侵攻を開始して以来、ドイツは約100万人のウクライナ難民を受け入れてきた。ドイツで難民として登録されると、社会保障や医療、住居提供、定住支援などを受けることができる。(c)AFP