【9月28日 People’s Daily】今年6月、東南大学(Southeast University)のキャンパス内に中国郵政(China Post)旗下の郵便局ではじめて付属コーヒーショップが開業し、学内の人気スポットとなっている。

「コーヒーの味もインテリアも良いですし、郵便局にカフェがあるというクロスボーダーなやり方も面白いです。大学では狭い範囲で忙しい生活をしていますし、みんなこういう空間を求めています」と、同大学の院生は話す。

「クロスボーダー」してカフェを始めたのは、中国郵政だけではない。近年、ガソリンスタンドやドラッグストアなどさまざまな場所でコーヒーを飲めるようになった。その背景には、少なからぬ有名企業がコーヒー産業へ参入していることがある。現在、中国にはコーヒー関連の企業が16万社近くあり、ここ5年間、コーヒー関連企業は毎年2万社あまり増えているという。

 有名企業が続々とコーヒー産業へと布石を打っているのは、中国のコーヒー消費市場が持つ巨大な吸引力によるものだ。

 急速に伸びる中国のコーヒー消費には大きな魅力がある。2021年の中国におけるコーヒー市場規模は約3817億元(約7兆6970億円)で、この先5年間で20%の成長率が見込まれる。世界平均成長率の2%よりはるかに高く、2025年には1兆元(約20兆円)前後に達するとされる。

 近い将来、中国では確固としたコーヒー消費の習慣が形成されていくだろう。都市に住む中流・富裕層を代表とした、消費意欲が高く、ブランドへのこだわりが強いコーヒー愛好者は増加の一途をたどる。コーヒーの種類に詳しい若者にとって、コーヒーを飲むことは目を覚ますためだけのものではなく、ライフスタイルの一部である。

 他にも、中国市民の収入水準が上がったことにより、中流層の規模が日増しに拡大しており、ひきたてのコーヒーのようなぜいたく品のニーズが急速に増えている。2021年の中国におけるコーヒー豆の輸入量は12万2700トンに達し、同期比74%の伸長であった。中でも生豆の輸入総量は10万6000トンにのぼり、全体の86%を占める。

 推計によれば、中国のコーヒー消費者は目下3億人を突破しており、大都市のホワイトカラーから小都市の若者まで、若年層にコーヒー消費の習慣ができつつある。少なからぬ若者がより良いコーヒー豆やひきたての豆、快適な空間を求めており、道具やコーヒーマシンに凝る人も現れた。オンラインモール天猫(Tmall)では、コーヒーマシンの売上額が2022年上半期に6か月連続で増加し、最高で同期比200%以上を記録した。

 データによれば、2021年、中国ではひきたてのコーヒーの1人あたり年間消費量が1.6杯、大都市での1人あたり年間消費量が3.8杯である。欧米などの成熟した市場と比べて発展の余地が大きく、コーヒーが中国人の日常生活に深く浸透するにしたがって、市場の成長が期待できる。(c)People’s Daily/AFPBB News