【9月24日 AFP】イランで、髪を隠すスカーフ「ヒジャブ」の着用方法が不適切だとして逮捕されたマフサ・アミニ(Mahsa Amini)さん(22)が死亡したことへの抗議デモが広まっている問題で、ノルウェー・オスロに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)は23日、治安当局のデモ弾圧により少なくとも50人が死亡したことを明らかにした。

 IHRによると、死者のうち6人は、北部ギラン(Gilan)州レズバーンシャフル(Rezvanshahr)で22日夜に治安部隊の銃撃を受け死亡した。一方、イラン当局の公式発表では、抗議活動が始まってからの死者数は治安部隊5人を含む17人とされている。

 反政府運動の抑え込みに努めるイラン当局は、デモ集会を防ぎ、デモ映像の海外流出を防止するため、インターネットへのアクセスを厳しく制限している。

 これを受け米政府は23日、イラン国民のネット利用を支援するため、同国に対する輸出規制を緩和すると発表。アンチウイルスやクラウドコンピューティング、ビデオ会議サービスなどのソフトウエアの提供を解禁するとした。

 米宇宙開発大手スペースX(SpaceX)のイーロン・マスク(Elon Musk)最高経営責任者(CEO)は今週、同社のインターネット通信衛星「スターリンク(Starlink)」の端末をイランに提供するための輸出許可を米政府に要請する意向を表明していた。ただ、今回の規制緩和はソフトウエアに関するもので、スターリンクは対象外となる。

 一方、イランでは23日、首都テヘランなど各都市で、政府が支援するカウンターデモが行われ、数千人が街頭でヒジャブや保守的な服装規定への支持を表明。イランのメヘル(Mehr)通信は「きょう、陰謀者と宗教の冒涜(ぼうとく)を非難するイラン国民による偉大なデモが行われた」と報じた。(c)AFP