【9月23日 AFP】ロシアの侵攻を受けるウクライナでの戦争犯罪をめぐり、現地調査を行った国連(UN)の調査委員会(COI)は23日、同国で戦争犯罪はあったと報告した。具体的には、ロシア軍による民間人居住地域への空爆のほか、多数の処刑、拷問、性暴力などを挙げた。

 調査委のエリック・モーセ(Erik Mose)委員長は、国連人権理事会(UN Human Rights Council)に対し「委員会が収集した証拠に基づき、ウクライナで戦争犯罪があったと結論付けた」と報告した。

 国連の調査班が断定的な報告をするのは異例。国際犯罪の調査結果の公表時には通常、暫定的な表現が用いられ、戦争犯罪などの違法行為をめぐる最終判断は法廷に委ねられることが多い。

 独立専門家3人から成る調査委は、キーウ、チェルニヒウ(Chernihiv)、ハルキウ(Kharkiv)、スムイ(Sumy)で調査を実施。今後、調査対象を広げていくとしている。

 人権理事会で23日に行った最初の口頭報告でモーセ氏は、ロシアは「広範囲に影響を与える爆発性の兵器を居住者の多い地域で使用」しており、これが「民間人に計り知れない損害と苦痛を与えた」と指摘した。

 また、性的暴行など、性別に基づく暴力行為も確認され、一部についてはロシア兵による犯行と断定された。モーセ氏によると、被害者の年齢は「4~82歳」だという。さらに調査委は、子どもが受けた「レイプや拷問、不法な拘束」など多種の犯罪被害についても記録したとしている。

 一方で「ウクライナ軍によるロシア兵士の虐待も2件確認した」とし、「数は少ないものの、こうしたケースも引き続き注視していく」と同氏は述べた。(c)AFP/Nina LARSON