【9月21日 AFP】サッカースペイン1部リーグ、レアル・マドリード(Real Madrid)のビニシウス・ジュニオール(Vinicius Junior)が、18日のアトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid)戦で相手サポーターから人種差別的なチャントを浴びた問題で、スペインのペドロ・サンチェス(Pedro Sanchez)首相が20日、すぐに明確な姿勢を示さなかったアトレティコを非難した。

 アトレティコの本拠地で行われたレアルとのダービーでは、一部のアトレティコサポーターが試合前や試合中に「お前は猿だ、ビニシウス、お前は猿」とやゆするチャントを歌った。また、同じブラジル代表のロドリゴ(Rodrygo Silva de Goes)が得点した際には、ゴールを喜ぶ同選手とビニシウスに向かって、客席からライターなどが投げつけられた。

 これについて、現在米ニューヨークで開催中の国連総会(UN General Assembly)に出席しているサンチェス首相は、ニュースサイトのポリティコ(Politico)に対して「私はアトレティコ・マドリードの熱心なサポーターだが、とても悲しかった」と語った。

「クラブから、こうした振る舞いに対して強いメッセージが出されることを期待していたし、自分の応援するチームにはそれを求めていきたい。各クラブがこの種の振る舞いを深刻に受け止め、対応を取ることが重要だと考えている」

 リーグはこの件をスペインサッカー連盟(RFEF)の懲罰委員会に報告する。アトレティコは20日午後まで沈黙を守っていたが、後にコメントを発表。暴言は「受け入れがたい」とし、当事者を特定して入場禁止にするまで、この件を追及すると話した。

 この問題の直前には、スペイン・サッカーエージェント協会(AEAF)でトップを務めるペドロ・ブラボ(Pedro Bravo)氏が、サッカー番組で「猿芝居」という言葉を使ってビニシウスにゴールパフォーマンスの踊りをやめるよう訴え、物議を醸す出来事があった。問題の言葉はスペインで「ふざけた真似」を意味するフレーズとしてもよく使われているもので、ブラボ氏は後に謝罪し、差別的な意図はなかったと釈明している。(c)AFP