【9月18日 AFP】岩手県に住む畠山駿也(Shunya Hatakeyama)さん(28)は、対戦型格闘ゲーム「ストリートファイター(Street Fighter)」のプレーヤーだ。キャラクターを自在に操り、複雑なコマンドを打ち込み必殺技を繰り出す。彼のために設計された特別なコントローラーを駆使して。

 体から筋肉が少しずつ奪われていく難病、筋ジストロフィーを患う畠山さんは、両手でコントローラーを握るかわりに顎でアナログスティックを動かす。eスポーツに身体的障害の有無は関係ないことを証明しているプレーヤーの一人だ。

 全盲の北村直也(Naoya Kitamura)さん(28)は、音を頼りに格闘ゲーム「鉄拳7(Tekken 7)」の闘いに挑んでいる。活況なeスポーツ界で才能を発揮することが、障害者に対する社会の偏見をなくす一助になればと願う。

 北村さんはAFPの取材中に「鉄拳7」のキャラクター、ラッキー・クロエ(Lucky Chloe)の目まぐるしい攻撃を実演して見せた。「どういう技が飛んできたかすべて音で聞いて判断して動いています」

 世界中で人気を博すeスポーツ界は年間10億ドル(約1420億円)を超える収益を生み出している。五輪競技の正式種目になる可能性があるとの見方も出ている。

 障害のあるプレーヤーが活躍する場を増やそうと、加藤大貴(Daiki Kato)さん(41)は2016年、eスポーツを通じた障害者支援事業を行う「ePara(イーパラ)」を設立した。

 同社は畠山さんや北村さんらプレーヤーを雇用し、ウェブサイト運営やゲームイベントの企画といった業務を任せる一方、ゲームのためのトレーニング時間を設けている。

 畠山さんは「ストリートファイターV」で、誰もがエントリー可能なオープン形式の大会に参加することが多い。格闘ゲームの魅力は「ハンディキャップやいろいろなハードルを越えて、いろんな相手と対戦できる」ことだと言う。

 大会に出る時に「障害があるかどうか」は関係がないと畠山さんは話す。「自分のプレーで人を感動させられるようにできればいい」