【9月14日 AFP】レバノンの首都ベイルートで14日、女が銀行を襲撃し、病気の家族の治療費だと主張して金を持ち去った。同国では通貨が暴落し、預金を引き出せない状況が3年近く続いており、銀行が襲撃される事件が相次いでいる。

 銀行に押し入った女は、襲撃の様子をインターネットで生配信していた。映像には、女が職員に金を渡すよう大声で要求する中、出入り口が封鎖される様子が映っていた。

 この中で女は「私はきょう、病院で瀕死(ひんし)の家族の預金を引き出すために来た。誰かを殺したり、放火したりするために来たのではない。自分の権利を主張するために来た」と述べていた。レバノンのソーシャルメディア上では、一躍英雄視されている。

 女は銀行襲撃後、地元テレビ局の取材に応じ、家族の預金約290万円のうち、190万円程度を持ち出せたと語った。女は、家族のがん治療に約700万円かかると主張している。

 レバノンは2019年以降、過去最悪の経済危機に見舞われている。現地通貨は闇市場で9割以上価値を失い、貧困率と失業率が大幅に上昇している。(c)AFP