【9月13日 東方新報】新エネルギー車(NEV)の購入者が急増している中国で、修理代の高さが問題になっている。

 8月には、電気自動車(EV)「ポールスター2」を購入したユーザーの黄(Huang)さんが「約30万元(約618万円)で車を購入したのに、修理代に54万元(約1112万円)を請求された」と明かしたことが報道された。

 ポールスター2は、中国自動車大手の浙江吉利控股集団(Zhejiang Geely Group Holding)とボルボ・カーズ(Volvo Cars)のEVブランド「ポールスター(Polestar)」のセダン型EV。黄さんの車は事故でシャシーが損傷し、バッテリーパネルにへこみが生じた。ディーラーに持ち寄ると、「バッテリーパック全体を交換するしかない」として、修理費は54万元かかると提示された。黄さんは「シャシーとヘッドライトが破損したぐらいなのに、どうして車2台分近い修理代がかかるのか?」と訴える。

 今年初めには、米EV大手テスラ(Tesla)のモデルYを28万元(約577万円)で買ったオーナーが「車をバックさせて壁にぶつけ、リアドアやテールランプなどの修理に20万元(約412万円)が必要と言われた」とインターネットに投稿した。中国メディアによると、中国EVメーカー「上海蔚来汽車(NIO)」では事故によるタイヤのパンクとホイールの修理費が14万元(約288万円)かかり、自動車メーカー北汽集団(BAIC Group)傘下のEVは、購入から3年後のバッテリー交換費用が4万元(約82万円)となり、車の価格7万元(約144万円)の半分以上になったという。

 北京のあるディーラーは「バッテリーはEVの総コストの40~60%を占めるので、交換するだけで高額になる。EVの販売台数はまだまだ少ないので、他のパーツも割高なのが実情」と説明。さらに「EVメーカー各社はシェア獲得のため販売価格を抑えている面があるが、既に購入した車の修理代も値引きする余裕はない」と打ち明ける。

 中国政府は経済をけん引する成長産業としてNEVを後押ししており、購入時の免税措置を導入。二酸化炭素(CO2)の排出を削減し、環境問題改善の切り札にも位置付けている。今年1~7月のNEVの販売台数は前年同期比2.2倍の319万4000台で、全体の自動車販売台数1447万7000台の22%を占めている。

 全国乗用車市場情報連合会の崔東樹(Cui Dongshu)事務局長は「高額な維持費は一時的な現象であり、NEVの売り上げが増えていけば次第に落ち着いていく」と見通しを語っている。(c)東方新報/AFPBB News