【9月11日 AFP】英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の死去を受けて、サッカーのイングランド・プレミアリーグが今週末の試合をすべて延期した決定について、歴代最長の70年にわたり在位した君主を悼む「機会を逃した」と関係者に批判が集まっている。

 女王が8日に96歳で死去した後、プレミアリーグは政府と話し合った上で今節の延期を選択した。デジタル・文化・メディア・スポーツ省からは、服喪期間中の中止や延期は義務ではないと言われたが、リーグは女王の「比類なき人生と国家への献身」に敬意を示すとして延期。2部以下のチャンピオンシップリーグとフットボールリーグ1、2も延期となった。プロだけでなく、育成年代も含めた10日と11日のアマチュア全試合も全国で取りやめになった。

 その一方で、クリケットのイングランド対南アフリカ戦やラグビーのプレミアシップ、男子ゴルフ欧州ツアーのBMW・PGA選手権(BMW PGA Championship 2022)の他、女王と最もつながりの深かった競馬は週末から再開されている。

 リバプール(Liverpool FC)などでプレーした元イングランド代表のピーター・クラウチ(Peter Crouch)氏は、試合中止の判断に疑問を呈し、ツイッター(Twitter)に「サッカーが単なるスポーツで、もっと大事なことがあるのは分かっているが、週末の全試合が行われていた場合を想像してほしい。喪章に黙とう、国歌、王立楽団による演奏などを世界中が見つめたとしたら、そちらの方が優れた送り出し方だったのではないか」と書き込んだ。

 8日に行われた欧州カップ戦の試合では、マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)とアーセナル(Arsenal)、ウェストハム(West Ham)の選手が喪章を巻き、1分間の黙とうをささげて哀悼の意を表した。ウェストハムが試合を行ったロンドン・スタジアム(London Stadium)では、サポーターが試合を通して国歌を歌った。しかし延期により、他チームが同様のことをする機会はなくなった。

 アーセナルファンとして知られるテレビ司会者ピアーズ・モーガン(Piers Morgan)氏はツイッターで、「ばかげた決断」だと中止を批判。ユナイテッドで活躍した元イングランド代表DFのギャリー・ネビル(Gary Neville)氏も「ピアーズに同意だ。スポーツは他の何より女王陛下への弔意を表せる」とリプライを送った。ファンも同様に、機会を阻まれたことにいら立ちを示している。

 9日に行われた政府との会合に出席したイングランドサッカー協会(FA)のデビー・ヒューイット(Debbie Hewitt)会長は、自分たちの決断の正当性を主張し、「今回のことは、サッカー界が連帯して動いていることを示す素晴らしい実例だ。弔意を表すにはこれが正しいということで、われわれ全員が100パーセント絶対的に合意している」と話している。(c)AFP