【9月7日 AFP】ブラジルの主にアマゾン(Amazon)熱帯雨林で、金価格の高騰を受けて金の違法採掘が急増していることが、6日公開された調査報告書で明らかになった。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)以降、国際金価格は過去最高値にまで上昇。これを受け、ブラジルの金の産出量も急増している。昨年の同国の金の産出量は世界14位だった。

 ミナスジェライス連邦大学(Federal University of Minas Gerais)の報告書によると、昨年ブラジルで産出された金112トンのうち、少なくとも7%が違法採掘によるものだった。さらに25%が違法だった可能性がある。

 2020年から21年までの間に違法採掘された金の量は44%増加。今年上半期もそうした傾向が基本的に続いているという。

 金の採掘はうまみがあるため、アマゾン熱帯雨林ではゴールドラッシュが起きている。国立宇宙研究所(INPE)の人工衛星画像によると、アマゾンでは昨年、過去最大の121平方キロの森林が採掘のため伐採された。

 一部地域では、犯罪組織とつながりがある違法採掘者が先住民の居住区を襲撃する事件も起きている。鉱石から金を抽出するために使われる水銀が河川を汚染していることも研究で示された。

 今回の調査では、違法採掘された金の98%が北部パラ(Para)州の3居留地で採掘されており、特に先住民族カヤポ(Kayapo)とムンドゥルク(Munduruku)が打撃を受けている。

 連邦検察はジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)政権に対し、金の採掘地をより厳格に管理するよう求めている。

 調査報告書の筆頭執筆者のブルーノ・マンゾーリ(Bruno Manzolli)氏はAFPに対し、「アマゾンでの(違法採掘の)害は全ての人に影響する。だが、違法採掘で得られた利益はごく少数に集中している」と話した。(c)AFP