【9月1日 Xinhua News】中国の宇宙ステーションを構成する実験モジュール「問天(Wentian)」では現在、シロイヌナズナと水稲の種子の発芽がすでに始まっており、生育状態は良好で、今後は「種子から種子まで」の全ライフサイクルの実験が進められる。北京市と上海市で29日に行われた、有人宇宙事業の宇宙空間応用と宇宙ステーションでの高等植物育成実験の段階的進展状況説明会で明らかになった。

 実験モジュール「問天」が7月に打ち上げられ、コアモジュール「天和(Tianhe)」とのドッキングに成功した。7月28日には実験サンプルのシロイヌナズナと水稲の種子を載せた実験ユニットが、宇宙飛行士によって「問天」の生命生態共通実験モジュールに取り付けられ、地上からのプログラム指令により、7月29日に実験が始まった。

 現在、シロイヌナズナの苗には複数の葉が付き、長稈水稲の幼苗は約30センチに伸び、短稈水稲も5~6センチに伸びている。中国科学院分子植物科学卓越創新センターの鄭慧瓊(Zheng Huiqiong)研究員は「シロイヌナズナの宇宙における『種子から種子まで』の全ライフサイクル実験はすでに成功しており、今回の研究を通じて、宇宙の微小重力下における水稲の『種子から種子まで』の全ライフサイクルの育成実験を世界で初めて完了させ、水稲育成の鍵となる環境パラメータを入手し、水稲を利用した宇宙での食糧生産に理論的指導を提供したい」と述べた。

 鄭氏によると、作付けの空間とエネルギーが非常に不足しているため、宇宙で作付けする農作物は必ず多収穫・良質、高生産性、低エネルギー消費の特性を備える必要がある。

 60年以上にわたり、科学者は宇宙における植物の作付け・栽培について数多くの研究を行っており、現在の重点は植物の幼苗段階の研究から種子生産の研究へと広がっている。しかし、これまでに宇宙での「種子から種子まで」の実験が完了しているのは菜種や小麦、エンドウなど少数の作物にすぎない。

 鄭氏は「植物にとって開花は発育の重要段階で、宇宙という条件下では、植物の開花時期が遅れ、開花数が少なく、種子の結実率が低く、種子の質が低下するなどの問題が依然として克服されていない」と説明。今回の実験では宇宙環境のさまざまな要素を利用して植物の開花を制御し、小さな閉鎖空間で植物の生産性の最大化を可能にする方途を模索し、宇宙環境に適応した作物を生み出し、宇宙の微小重力環境の諸資源を開発、利用するための理論的根拠を提供すると述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News