【9月1日 People’s Daily】中国北部の内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)フフホト市(Hohhot)から南に20キロのところに、ビッグデータ・クラウドコンピューティング情報パークがある。ここでは、1万台のIDC(インターネットデータセンター)ラックが24時間体制で稼働している。現在、この拠点には、政府機関、国際的に有名なクラウドベンダー、大手ITベンダー、銀行、保険会社など、100以上の政府機関や企業が集まっている。

 今年2月、中国は8地域で国家計算力ハブノードの建設を開始し、10か所の国家データセンタークラスター建設を計画した。中国の一体化ビッグデータセンターシステムの全体レイアウト設計が完成し、もう一つの重要な国家戦略プロジェクトとして、「東数西算」プロジェクトが正式に全面始動した。

 データセンターは電力を大量に消費する。計算力の需要を東部地域から西部地域へと秩序よく誘導する「東数西算」プロジェクトを推進することで、西部地域の気候、エネルギー、環境の利点を十分に生かし、再生可能エネルギーの供給とその近隣の消費を拡大し、中国データセンターの低炭素、グリーン、持続可能な開発の達成を支援することができる。また、同プロジェクトは、不均衡で不十分な開発という問題を解決するための重要なプロジェクトでもある。

「『東数西算』」は、バックボーンネットワークの伝送速度を100Gから200G、400Gなどの高速化を強く促進するため、わが社に新しい市場機会をもたらした!」と、長飛光ファイバーケーブル会社(YOFC)材料事業部の王鉄軍(Wang Tiejun)副事業部長は述べた。

「東数西算」プロジェクトに対し、複数の大手サーバーメーカーもその市場ポテンシャルに期待を寄せている。レノボ(Lenovo)インフラソリューション事業グループ政府・教育部署の黄玥(Huang Yue)ゼネラルマネジャーは、中国産サーバーの市場シェアは現在74%に達しており、「東数西算」プロジェクトのもと、このシェアはさらに拡大するだろうと述べた。推計によると、中国のサーバー市場の売上成長率は2022年に10%を超えるとされている。

 中国情報通信研究院(CAICT)の余暁暉(Yu Xiaohui)院長の紹介によると、2021年までに、中国で稼働中のデータセンターラックの総規模は520万台、IDC市場の収益は1500億元(約3兆円)、クラウドコンピューティングの市場規模は3030億元(約6兆736億円)に達した。「第14次五か年計画(2021〜2025年)」期間中、データセンターラックの年平均成長率は20%前後、収益の成長率は25%から30%になると予想される。クラウドコンピューティング収益の年平均成長率は30%を超える見込みだという。国家発展改革委員会イノベーション駆動発展センターの徐彬(Xu Bin)副主任は、「東数西算」プロジェクトは、年間約4000億元(約8兆179億円)の投資を促進することができる。同時に、計算力施設が建設されれば、西部地域に情報技術、グリーンエネルギーなどの産業発展の機会をもたらすと述べた。

 デジタル経済時代において、計算力は農業時代の水利、工業時代の電力と同様に、国民経済発展のための重要な基盤となっている。「東数西算」という重点プロジェクトの実施は、デジタル中国の構築の力強い支えとなり、中国経済の高品質な発展に新たな原動力を注入するに違いない。(c)People’s Daily/AFPBB News