【8月27日 AFP】トルコは26日、ブラジル海軍が運用していた空母「サンパウロ(NAE Sau Paulo、全長260メートル)」を同国企業が解体する許可を取り消した。環境保護団体や野党は「アスベスト船」と呼び、解体に反対していた。

 トルコの造船所は昨年、サンパウロを解体する契約を受注。数週間以内にエーゲ海(Aegean Sea)沿岸のイズミル(Izmir)近辺で作業を開始する予定だった。

 トルコでは船舶の再資源化解体業が盛んに行われ、世界中の海軍や商社から老朽船が送り込まれている。

 しかし、環境保護団体や野党は、サンパウロの断熱材には健康被害をもたらすアスベスト(石綿)数トンが使用されており、解体によって土壌と水質が汚染されると反対の声を上げてきた。

 サンパウロに使用されているアスベストの正確な量をめぐっては、今も論争が続いている。

 ムラト・クルム(Murat Kurum)環境・都市計画・気候変動相は、同空母が義務付けられていた2回目の含有物検査を受けなかったため、条件付きで認めていた許可を取り消すとして、「同空母のトルコ領海への進入は認められない」と述べた。

 船舶の位置情報などを提供するウェブサイト「マリントラフィック(marinetraffic.com)」によると、サンパウロは現在、ブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)に停泊している。

 許可取り消しを受け、トルコの環境保護団体「Doganin Cocuklari(自然の子どもたちの意)」はツイッター(Twitter)に「私たちは毒を阻止した!」と投稿した。(c)AFP