【9月13日 AFP】サッカー国際審判員のイゴール・ベネベヌート(Igor Benevenuto)氏(41)は、子ども時代は決してサッカーが好きではなかった。だが、ブラジルの地元でまかり通っていた同性愛者へのいじめを避けるために、やむなくプレーにいそしんだ。

 選手としてはそれほど優秀ではなかったが、次第にレフェリングへの情熱を見いだし、それは同性愛者であることを隠すための完璧な「カムフラージュ」となった。

 というのはつい先日までの話で、ポッドキャストで自身のセクシュアリティーを告白し、ゲイであることを公表したごく少数のサッカー審判員となった。

 カミングアウトする前からすでにブラジルでは有名人だったベネベヌート氏は、自分の胸から「心の重荷」を取り除き、ブラジルサッカー界に浸透しているマッチョイズムを変える役割を果たしたかったという。

 地元のミナスジェライス(Minas Gerais)州で応じたAFPのインタビューで、ベネベヌート氏は「サッカーは社会的な私たちのあり方を形成する場所でもあり、肌の色や性的指向などに関係なく、誰もが存在できるところだというのを示したい」と語った。「それは各人の権利であり、尊重されなければならない」

 カミングアウトするまでは、ずっと本来の自分と男性にひかれることをひた隠し、「心から幸せな人生は一度も送ったことがなかった」が、今回の決断で人生が変わったと話す。