【8月13日 AFP】アフリカ南部のボツワナと南アフリカで、絶滅の危機にひんしているハゲワシ150羽以上が毒殺されているのが見つかった。保護団体が12日、発表した。

 アフリカ南部ではハゲワシの毒殺は珍しくなく、上空を飛ぶことで違法行為が発覚することを恐れる密猟者に殺される事件が相次いでいる。また保護団体によると、ハゲワシの頭部は伝統薬の材料としても用いられている。

 地元のハゲワシ保護団体バルプロ(Vulpro)によれば、12日にボツワナ北部チョベ(Chobe)地区でコシジロハゲワシ50羽以上が、11日には南アフリカのクルーガー国立公園(Kruger National Park)で約100羽が死んでいるのが見つかった。

 バルプロの創設者ケリー・ウォルター(Kerri Wolter)氏はAFPの取材に対し、いずれの地域でも、ハゲワシは毒物が混入されたとみられるスイギュウの死骸を食べて死んだと説明。今はハゲワシの繁殖期に当たることから、被害は「いっそう深刻だ」とした。

 クルーガー国立公園当局は、事件を調査していると表明。死骸の中には、体の一部が切り取られたとみられるものもあったとした。

 コシジロハゲワシは国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト」で絶滅危惧種に分類されている。環境保護団体「絶滅危惧野生生物トラスト(EWT)」のヨラン・フリードマン(Yolan Friedmann)代表は、「ハゲワシが世界各地で危機にひんしていることを考えると、これほどの規模の毒殺は絶滅のリスクを一層高める」と警告した。(c)AFP