【8月14日 AFP】通信環境の整備が難しい地域を含む、地球上のあらゆる場所で超高速インターネットを実現する──それを約束するのが衛星インターネットだ。

 必要なものは三つ。インターネット網に接続された地上局、静止衛星、利用場所から衛星に向けられたパラボラアンテナだ。

 利用者がインターネットで検索すると、パラボラアンテナから衛星にデータが送られる。衛星は受信したデータをインターネット網に接続された地上局へと送る。

 検索結果は反対の経路をたどり、利用者の元へと届く。

 近年までは高度約3万5000キロの静止軌道にある衛星が使用されてきた。これだとデータの転送距離が長くなり、かつて主力だったADSL回線の3~5倍の遅延時間が発生する。

 一方、新しい衛星インターネットは高度約600キロの地球低軌道を使用する。これにより遅延時間は少なくなり、運輸、金融、防衛、さらにはゲームの分野でサービス拡大が可能になった。今や空中や洋上でもインターネットを利用できる。

 しかし、そのためには多数の衛星を低軌道に送る必要がある。現在、民間企業によってさまざまな衛星の配備が進められている。米宇宙企業スペースX(SpaceX)の衛星インターネットサービス「スターリンク(Starlink)」や米IT・通販大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)の通信システム「カイパー(Kuiper)」は、すでに数千基の衛星を打ち上げている。

 中国や英国をはじめとする各国も、主権(管轄権)を守るために独自のネットワークを開発中だ。

 急増するインターネット需要に対応して広まっている衛星インターネットには批判もある。

 地球低軌道上の衛星は静止衛星よりも脆弱(ぜいじゃく)である他、天文台などからは衛星の移動が観測の妨げになるとの指摘も上がっている。

 また米航空宇宙局(NASA)は、衛星の急速な増加により、今後宇宙での衝突リスクが高まると懸念している。(c)AFP