【7月16日 AFP】世界保健機関(WHO)と国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)は14日、ジフテリア・破傷風・百日ぜきを予防する3種混合(DTP)ワクチンについて、2021年の3回目接種完了率は2019年から5ポイント減の81%となり、過去30年間で最低水準になったとの報告書を発表した。要因として、新型コロナウイルスの流行に伴うワクチンに関する偽情報の増加やグローバルサプライチェーンの混乱などを挙げている。

 3種混合ワクチンは、国や地域の予防接種率を測る指標として用いられている。

 ユニセフのキャサリン・ラッセル(Catherine Russell)事務局長は、接種率の低下は「子どもの健康への赤信号だ」と述べ、「小児接種率が続けて下がって最低水準を示した結果は、命として数字に表れる」と警鐘を鳴らした。

 昨年、3種混合ワクチンを1回以上接種していない子どもは約2500万人に上り、2020年より200万人、2019年より600万人多かった。

 また、2500万人中1800万人は1回も接種しておらず、「大半は低・中所得国に集中している」と報告書は指摘。中でもエチオピア、インド、インドネシア、ナイジェリア、フィリピンで非常に多かった。

 接種率が低下した要因としては、紛争地域に住む子どもの増加、新型コロナの流行に伴う偽情報の増加やサービスおよびサプライチェーンの混乱、ロックダウン(都市封鎖)による接種の停滞などが挙げられている。

 子宮頸(けい)がんを予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについても、昨年の世界の接種率は2019年比で25%減となった。

 HPVワクチンが初めて認可されてから15年以上になるが、接種完了率は世界でわずか12%にとどまっている。

 また、麻疹ワクチンの1回目の接種率も81%に低下し、2008年以来の低水準となった。(c)AFP