【6月17日 AFP】北朝鮮は17日、病名が特定されていない腸内感染症をめぐり、数百世帯で感染者が出ていると明らかにした。新型コロナウイルス流行で打撃を受けている脆弱(ぜいじゃく)な医療システムに一段と負荷がかかることになる。

 朝鮮中央通信(KCNA)は今週、南部の黄海南道(South Hwanghae Province)で「急性の腸内感染症の流行」が起きていると報じた。金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong Un)総書記は関係当局に「できるだけ早く流行を封じ込める」よう指示した。

 金氏の妹、金与正(キム・ヨジョン、Kim Yo Jong)氏をはじめ、政府高官が私的に薬を寄付したと報じられており、事態の深刻さを物語っている。

  KCNAは17日、寄付された薬は「急性感染症に苦しむ黄海南道の800世帯余り」に届けられると伝えた。このことから、少なくとも1600人の感染者が出ているとみられる。

 感染症はコレラか、腸チフスとの可能性が指摘されている。黄海南道は北朝鮮の主要な農業地帯で、慢性的な食料不足がさらに悪化する恐れがある。

 北朝鮮政府は先月、初の新型コロナウイルスの流行が起きたと発表し、「最高レベルの緊急感染防止システム」を導入していた。ただ、約2500万人の国民はワクチン未接種であり、国営メディアによると、これまでに450万人の「発熱」が確認され、73人が死亡している。(c)AFP