【5月29日 AFP】ウクライナ東部で攻勢を強めるロシアは28日、ドネツク(Donetsk)州の要衝リマン(Lyman)を制圧したほか、ルガンスク(Lugansk)州の主要都市セベロドネツク(Severodonetsk)を包囲したと発表した。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は同日夜の演説で、「状況は非常に厳しい。特にドンバス(Donbas)地方とハルキウ(Kharkiv)州では、ロシア軍が少なくとも何らかの戦果を挙げようと試みている」と述べた。

 首都キーウと北東部ハルキウの制圧に失敗したロシア軍は、東部ドンバスで全面攻勢に出た。ウクライナ当局者は、ロシア軍が「焦土作戦」を行っていると非難している。

 ロシア国防省は28日、リマンを「ウクライナの民族主義者から完全に解放した」と発表した。

 リマンは、ウクライナ政府が東部地域を管轄する行政機関を置くドネツク州クラマトルスク(Kramatorsk)と、セベロドネツクを結ぶルート上に位置する。親ロシア派勢力が27日に制圧したと主張していた。

 ロシア軍はセベロドネツクや、隣接するリシチャンスク(Lysychansk)に迫りつつある。ルガンスク州のセルヒー・ハイダイ(Sergiy Gaiday)知事によると、セベロドネツクではロシア軍による砲撃が続き、ウクライナ軍は市周縁部にあるホテルを拠点に防衛している。

 国営ロシア通信(RIA)は27日夜、ルガンスク州の警察関係者の話として、セベロドネツクは「包囲された」と伝えた。一方、ハイダイ知事はこれを否定。ウクライナ軍が市近郊からロシア軍を撃退したとし、「セベロドネツクはまだ孤立していない。人道支援を届けられる可能性はまだある」と、ウクライナのテレビ局に語った。

 ウクライナ当局によると、27日には東部バフムート(Bakhmut)とアウディーウカ(Avdiivka)、南部ミコライウ(Mykolaiv)で民間人各1人がロシア軍の攻撃により死亡した。

 ゼレンスキー氏はオランダ放送協会(NOS)に対し、「ウクライナはこの戦争に必ず勝利する」「問題はどれだけの代償を払わなければならないかだ」と語った。(c)AFP/Dmitry Zaks with Patrick Fort in Kharkiv