【5月27日 AFP】西側諸国がウクライナに供与している武器や弾薬が、将来的に意図せざる勢力の手に落ち、国内外に拡散する可能性があると武器取引の専門家は懸念している。ウクライナは1990年代、武器取引の拠点だった過去もあるためだ。

 ベルギーの独立系研究機関フランデレン平和研究所(Flemish Peace Institute)の所長兼研究者のニルス・デュケ(Nils Duquet)氏は、「現在、ウクライナの武器、その中でも特に小型武器が各地に拡散する重大なリスクが存在する」と警告した。

 ロシアが2月24日にウクライナに侵攻して以降、米国などの西側諸国はウクライナへの武器供与を相次いで発表した。米国は、標的に突入して破壊する機能から「神風ドローン」と呼ばれる「スイッチブレード(Switchblade)」数百機や、自動小銃7000丁とその弾薬5000万発、レーザー誘導ミサイル、敵のドローンや迫撃砲を探知するレーダー装置などを供与したり、供与を表明したりした。

 米シンクタンク、スティムソン・センター(Stimson Center)は3月、「より多くの武器をウクライナに供与するという対応は理解できるものの、安全保障に与える即時および長期的な影響について検討する賢明さも必要だ」との見解を示した。

 その上で、「われわれは紛争で同盟の支援を意図した武器が思いも寄らない戦地の前線に流れるのを何度も目にしてきた。特に、多くの場合、武器は米国の利益と対立する勢力や個人の手に渡ってきた」と指摘した。