【5月21日 CNS】中国は現在、日本などアジアの先進国と同様、少子高齢化に直面している。このため、中央政府は計画出産・子育てに関する「国策」を徐々に調整しており、最近では地方政府も「三人っ子」を奨励するために児童手当などの取り組みを積極的に導入している。

 中国国家衛生健康委員会によると、近年、中国では政策の調整により合計1000万人以上の第2子が多く生まれ、第2子の出産の割合は2013年の約30%から近年の約50%に上昇したという。

 しかし、最新の統計によると、2021年の中国の出生率は0.752%で、1949年以来最低となった。2021年末の時点で、中国の人口は前年末よりわずか48万人の純増にとどまり、人口の自然増加率は0.034%で、増加はほぼなくなってきているという。

 今年3月初めの中国全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)で、李克強(Li Keqiang)国務院総理は政府活動報告で、「三人っ子政策の支援策を改善し、3歳未満の乳幼児の子育て費用を個人所得税の特別付加控除に組み入れ、全国民向けの保育サービスを発展させ、保育にかかる家庭の負担を軽減する」ことを提案した。

 これは、中国政府が「三人っ子」課題を重要視していることの表れでもある。

 また、中国の多くの省が続々と「三人っ子」を地方政府活動報告に盛り込み、「三人っ子政策の実行と支援策」を2022年の重点任務の一つに位置付けている。さらに、昨年後半から今に至るまで、四川(Sichuan)、湖南(Hunan)、吉林(Jilin)、安徽(Anhui)などの各省が、お金でもって出産を奨励する児童手当制度の創設を明確に打ち出した。

 今年1月、北京は「出産政策の改善による人口の均衡ある長期的発展の促進に関する実施方案」を発表し、家庭保育手当制度の段階的改善を明確に打ち出した。

 しかし、出産意欲の向上は、政府が児童手当を支給すれば解決するような課題ではない。「子育てにかかる直接の費用を下げることで出生率を上げようというのが、児童手当政策の本来の意図であり、1人当たりの所得が低い地域には一定の刺激効果がある」。中国人民大学(Renmin University of China)労働人事学院社会保障学科の王天宇(Wang Tianyu)准教授は、各家庭の出産決定は非常に複雑で、子育て費用は要因の一つにすぎないと分析する。

 また、地方財政の負担能力を考慮する必要もある。専門家によると、2021年の中国の出生人口は1062万人で、そのうち第2子は約460万人。昨年の出生規模をもとに、二人っ子家庭のみに手当を支給する場合、子供1人当たり月500元の手当を3歳まで支給すると仮定すれば、年間の投入金額は800億元(約1兆5300億円)にもなる。

 中国人口・発展研究センターの李月(Li Yue)副研究員によると、現在、各国の出産奨励策は、①各種手当や減税政策などの経済的支援、②保育サービスや居宅支援、放課後支援などのサービス利用支援、③産休や育児休暇、配偶者出産休暇などの休暇制度などの時間的なサポートの三つに分けられるという。

 専門家らは、政府は各種政策・措置を打ち出すのは、短期的な少子化対策だけでなく、子育て費用の社会化や、多子世帯に配慮する文化の構築のためだとみている。また、文化が出産の意思決定に与える影響は、一定期間を経て初めて明らかになるだろう。(c)CNS/JCM/AFPBB News