【5月6日 AFP】ロシア正教会のゲオルギー・エデリシュテイン(Georgy Edelshtein)司祭(89)は、ウクライナでのロシアの軍事作戦に反対している。だが、異論を唱える人との議論は歓迎だ。自宅の居間の肘掛け椅子を指さし、「反対派の1人や2人はここに座っていてほしい」と話す。

 ウクライナ侵攻に反対の声を上げたロシア正教会の聖職者は、一握りしかいない。白いひげをたくわえ、黒い祭服を着たエデリシュテイン司祭は震える声で、しかし、ためらうことなく主張する。「私は、悪い司祭なのだと思う。すべての戦争に反対してきたわけではないが、侵略戦争には常に反対してきた」

「(ウクライナは)独立国家だ。彼らが必要と考える国家を築かせればいい」。首都モスクワから車で6時間、コストロマ(Kostroma)州のボルガ川(River Volga)沿いにあるノボベールイカーメニ(Novo-Bely Kamen)村で、AFPの取材に語った。

 2月24日にロシアが軍事行動を開始して以来、ロシア正教会の最高指導者キリル総主教(Patriarch Kirill)は好戦的な説教を展開。ロシアとウクライナの歴史的な一体性を損なおうとする「敵」を制圧するため、当局を中心に「結集」するよう国民に呼び掛けている。

 ロシア正教会は、旧ソビエト連邦時代には国家保安委員会(KGB)の管理下で厳しい制限を受けていた。キリル総主教は2009年にモスクワ総主教に就任して以来、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領との関係緊密化に努め、西側の自由主義よりも保守的な価値観を重視してきた。