【4月14日 AFP】ウクライナ政府高官は13日、北部のチョルノービリ(チェルノブイリ、Chernobyl)原子力発電所を占領していたロシア軍が施設を荒らし、立ち入り禁止区域の放射線量を測定する機器がなくなったために測定できない状態になっていると明らかにした。

 立入禁止区域庁のイェフゲン・カラマレンコ(Yevgen Kramarenko)長官は、「立ち入り禁止区域の放射線量を監視するシステムは依然として動いていない」と述べた。原因として「情報を処理するサーバーがなくなった」ことを挙げた。

 長官は、「電気が使えるようになり、職員が放射線監視地点に入るのを軍が認めるまでは、どの程度の被害が出たのか把握できない」と述べた。

 さらに「占領者(ロシア軍)はあちこちを掘り返した。重機を埋めたり、塹壕(ざんごう)を掘ったりしたほか、地下の台所や要塞(ようさい)化した場所も構築した」と指摘。その「要塞」の一つは、「赤い森(Red Forest)」と呼ばれる放射能汚染が深刻な地域にある放射性廃棄物の一時保管場所近くに構築されたという。
 
 長官は、原発周辺には1000人前後のロシア兵が数週間にわたって駐留し、約50両の装甲車両が展開していたと話し、掘削活動や重機使用に伴う汚染土壌の飛散による健康被害をロシア兵は1か月〜数年のうちに認識するだろうと予想した。(c)AFP