【4月10日 AFP】建築界で最も権威がある賞とされているプリツカー賞(Pritzker Prize)を、ブルキナファソ出身でドイツとの二重国籍を持つディエベド・フランシス・ケレ(Diebedo Francis Kere)氏(56)が、アフリカ出身の建築家として初めて受賞した。

 ケレ氏はベナン、ブルキナファソ、マリ、トーゴ、ケニア、モザンビーク、トーゴ、スーダンなどのアフリカ各地で、学校や医療施設、住宅、庁舎、公共スペースなどの設計を手掛けてきた。ドイツのベルリンでAFPのインタビューに応じ、「身に余る光栄です。同時に責任も感じています」と述べた。

 ケレ氏の受賞理由について、同賞を後援する米ハイアット財団(Hyatt Foundation)のトム・プリツカー(Tom Pritzker)会長は、「地球、そしてこの星に住む人にとって持続可能」で「先駆的」な設計を、極度に貧しい地域において手掛けてきたことが評価されたと述べた。

 ケレ氏が一躍有名になったのは2001年、生まれ故郷のブルキナファソ・ガンド(Gando)村の小学校プロジェクトだ。通常の学校建築で用いるコンクリートではなく、地元の粘土をセメントで固めたれんがを使い、エアコンなしでも屋内を涼しく保つ画期的な設計だった。校舎の完成後、生徒は120人から700人に増えたという。

「彼は建築家であり、社会の奉仕者でもある。時に忘れられがちな地域の無数の市民の生活や体験を向上させている」とプリツカー氏は評する。

 ブルキナファソの首都ワガドゥグ郊外のラオンゴ(Laongo)にある文化教育施設「オペラビレッジ(Opera Village)」も代表作の一つだ。約20ヘクタールの敷地には教育施設や医療センター、ゲストハウス、学校、ホールなど26棟が、花こう岩の高原に溶け込むように放射状に建っている。

 ドイツ人映画監督の故クリストフ・シュリンゲンズィーフ(Christoph Schlingensief)氏の発案による芸術・教育・エコロジーを融合させたこのビレッジは、2010年に建設された。

 ハイアット財団はケレ氏について「建築というプロセスを通じて地域社会に力を与え、変革」していると評価。「社会的公正の追求とその取り組み、また地元の素材を賢く使って自然の風土とつながるなど、逆境に置かれた制約のある国々で活動している」と述べた。

 ケレ氏はオフィスでスタッフと受賞を祝いながら、「私は誰にでも良質なものを享受する権利があると確信しています」と語った。

「経済的に余裕のある人たちにも、ない人たちにも、どうすれば最高のものを提供できるか、いつも考えています」

「これが私のやり方です。建築を通して人類に奉仕する構造を築きたいのです」

 映像は3月15、16日撮影。(c)AFP/Peter HUTCHISON with Marion PAYET in Berlin、Armel BAILY