【4月8日 People’s Daily】「中国天眼」と呼ばれる500メートル球面電波望遠鏡(FAST)が正式に検収されてから2年近くになる。「中国天眼」の運用効率と品質は絶えず向上し、年間の観測時間は5300時間を超え、すでに国際同業者が予想する作業効率をはるかに上回り、その科学的成果の産出の重要な支えとなっている。中国科学院(CAS)は1月5日、科学者が「中国天眼」を活用し、2021年にいくつかの重要な科学研究成果を獲得したと発表した。

 中性水素は宇宙で最も豊富な元素であり、宇宙のさまざまな時期に広く存在し、さまざまなスケールの物質分布の最良のトレーサーの一つとなっている。中国科学院国家天文台(NAOS)の慶道沖(Qing Daochong)氏、李菂(Li Di)氏が率いる国際協力チームは、オリジナルの中性水素ナロウ自己吸収法(HINSA)を採用し、「中国天眼」を活用して初めてもとの恒星核クラッドの中の高信頼度のあるゼーマン効果測定の結果を獲得し、恒星の形成の3大従来課題の一つである「磁束課題」の解決のために重要な観測証拠を提供した。

 高速電波バースト(FRB)は、宇宙で最も明るい電波爆発現象で、持続時間は数ミリ秒で、最初に発見されたのは2007年で、銀河外からのパルス信号ではないかと考えられた。現在、数百件の高速電波バーストが検出されており、そのうちの少数が反復してバーストを起こす現象を見せている。FRB121102は、人類に知られている最初の反復バーストであり、2017年には、正確に特定され、宿主銀河が確認できる最初の高速電波バーストとなった。国家天文台の李菂氏、王培(Wang Pei)氏、朱煒瑋(Zhu Weiwei)氏が率いる国際協力チームは、「中国天眼」を活用してFRB121102を観測し、約50日間で1652回の爆発を検出し、これまでに当分野の全ての記事に発表された爆発量を上回る最大の高速電波バーストサンプルを獲得した。

 パルサーは1.4ミリ秒から23秒の間の強い周期性のパルスを発する。パルサーの発見は国際的な大型電波望遠鏡による観測の主要な科学目標の一つだ。「中国天眼」はこれまでに計約500個のパルサーを発見し、稼働以来、パルサーの発見率が世界で最も高い設備となっている。

「中国天眼」は19ビームLバンド受信機を搭載する、世界で現存するうち最も優れたパルサー検出の利器となっている。国家天文台の韓金林(Han Jinlin)氏が担当する「中国天眼」の重要優先プロジェクト「銀河面パルサースナップショット宇宙巡遊(GPPS)」は2年足らずの間に、累計で約620時間を観測し、計画された探知エリアの8%を達成した。これまでのところ、このプロジェクトのみで279個のパルサーが新たに発見されており、そのうちの65個はミリ秒パルサーで、二重星システムには22個もある。1年半の作業で発見されたパルサーの数は、米アレシボ電波望遠鏡の15年間の検出結果を上回った。

 科学技術イノベーションは国際協力と開放・共有から切り離せない。「中国天眼」は建設当初、国際慣例に従って段階的に開放する原則を確立した。2021年3月31日午前0時、「中国天眼」は全世界に公開され、全世界の天文学者から観測申請を募集した。

「中国天眼」運行・発展センター常務副主任、チーフエンジニアの姜鵬(Jiang Peng)氏によると、今回の募集には世界の国々から計7216時間の観測申請が寄せられ、最終的に14か国(中国を除く)の27件の国際プロジェクトが承認され、2021年8月に科学観測を開始したという。(c)People’s Daily/AFPBB News