【3月19日 People’s Daily】中国貴州省(Guizhou)正安県(Zheng’an)にある国際ギター産業園は、年間600万本のギターを生産し、全国生産量の20%を占め、30余りの国と地域に販売されている。「正安ギターが有名になった理由は、精進を重ね、実務に励み、実を求めるギター職人にある」。県就業局の職業能力建設責任者の陳坤華(Chen Kunhua)氏は、「正安ギター職人」という労務ブランドにより、同県はギター産業を興すことができ、地元住民のために増収の道を開いたと述べた。

 正安県は貴州省と重慶市(Chongqing)の境に位置し、かつては極度の貧困県だった。1987年、現地の人々は広東省(Guangdong)を大規模に南下して仕事をし、貴州省の組織的な労働力輸出の先駆けとなった。60万人余りの県城は、20万人余りが長年出稼ぎしており、そのうち6万人余りが広東省のギター業に携わり、中堅技術者や管理職を担う人材も多かった。

 2012年、正安県は「築巣引鳳(巣を築いて鳳凰を引き入れる。受け入れ環境を整えて人材を誘致する)」プロジェクトをスタートさせ、同郷に帰郷して起業するよう呼びかけ、ギター産業は勢いに乗って生まれた。「実家にギター産業園を建て、園内のことは企業が管理し、園外のことは政府が支援してくれる」。それに、賃貸料、税収、ビジネス環境建設などの一連の優遇政策が実施され、長年出稼ぎしていた劉江波(Liu Jiangbo)氏は、第一陣の帰郷起業の大軍に加わった。

 2016年3月、劉氏が設立した貴州金韻楽器有限会社がギター産業園に入居し、生産を開始した。「ギター製造は労働集約型産業なので、機械を使っても7割近くの工程は手作業に頼らなければならない」。連れてきた中堅技術者を加え、劉氏は園区の周辺で労働者を直接募集した。「3本の生産ラインを相次いで増設し、200人近くを募集した。この多くは地元の女性だった」と、彼は語った。

 ギターの製造から販売、物流などの関連産業に至るまで、わずか数年で104社の企業が園区に入居し、年間総生産額が60億元(約1120億円)に達し、完全なギター産業チェーンが日増しに完備されている。

「政府はギター産業を基幹産業として捉え、位置づけを明確にし、優遇政策を実施している。これは最も魅力的だ」。陳氏によると、200以上の工程により、品質の優れたギターを奥山から出し、安定した雇用チームを形成したという。「現地での雇用は9242人で、そのうち6690人が安定して貧困から脱却し、10万人近くの雇用をけん引した。正安は有名なギター生産地になった」と、陳氏は述べた。

 2019年、「正安ギター職人」という労務ブランドが正式に打ち出された。

 企業が人材育成を重視するように導くため、政府は定期的に市級、省級ギターマスタースタジオの申告を組織する。「申告に成功した者には、10万元(約187万円)の援助を与える。県全体では12社が成功した」。陳氏によると、正安ギター職人全体の技術レベルを高めるために、政府は学校と企業の協力を導いてきたという。

 2019年10月、第1回中国ギター製作大会が正安で開催され、全国から300人以上のギター職人が一緒に競技を行った。「これはギター製造のコミュニケーションのプラットフォームで、多くの地元の職人が賞を取った」。陳氏は、一連のギター技能大会を通じて、業界の標準体系の構築への切実さをよりよく見極めることができると述べた。

「政府は引き続き専門学校と業界を導き、完備された業界標準体系の構築に向けて、職業技能基準を公布できるよう努力している」。陳氏は、正安ギター職人のために成長空間を広げなければならないと述べた。(c)People’s Daily/AFPBB News