【3月15日 AFP】仏国防省は14日、2014年のロシアによるクリミア(Crimea)半島併合後、フランスが欧州連合(EU)の対ロ制裁に違反して軍装備品の同国向け輸出を続けていたのではないかとの疑惑について、否定した。

 仏調査報道機関ディスクローズ(Disclose)が機密文書や公開情報に基づいて報じたところによると、仏政府は2015年以降、1億5200万ユーロ(約197億円)相当の軍装備品の対ロ輸出を承認した。

 承認された輸出品のほとんどは「ロシアの戦車1000台超に搭載される熱感知カメラと、戦闘機・ヘリコプター用の航法装置および赤外線センサー」で、仏政府が筆頭株主である防衛・電子機器大手タレス(Thales)、航空機器大手サフラン(Safran)両社の製品とされる。

 ディスクローズは、こうした仏製品を装備した戦車と航空機が先月24日に始まったウクライナ侵攻に使われたとしている。

 ロシアは2014年3月、クリミア半島を併合。EUは同年8月、制裁措置としてロシアへの武器輸出を禁止した。

 しかしディスクローズは、仏政府は「遡及(そきゅう)適用されないというEU禁輸措置の抜け穴を最大限に利用した」と糾弾している。

 これに対し仏国防省のエルベ・グランジャン(Herve Grandjean)報道官は「フランスは軍装備品の輸出に関し国際的な取り決めを厳守している」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 ただグランジャン氏は「クリミア併合以前に締結された契約については履行できる。制裁の規定にも明記されている」と指摘。その上で、「2014年以降はロシアとは新規契約を結んでいない。ウクライナで戦争が始まって以降、ロシアには何も引き渡していない」と強調した。(c)AFP