【3月14日 AFP】ロシア軍のウクライナ侵攻により、米国と中東地域において同盟関係にあるサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)の間で、かつては想像もできなかったような立場の違いが生じている。主要な産油国であるサウジとUAEは、国際社会で一段と独立色を強めている。

 米軍を受け入れてから数十年にわたり依存的に米政府を支持してきた湾岸諸国は、エネルギーから外交分野までロシアの生命線を止めようとするジョー・バイデン(Joe Biden)政権への支持を控える姿勢が顕著だ。

 アナリストたちは、湾岸諸国の新たな立ち位置は、2018年のサウジ人著名ジャーナリスト、ジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏殺害事件を含めた多くの不和に根差すものだと指摘。ペルシャ湾(Persian Gulf)を挟んで長らく対峙(たいじ)するイランの脅威から守ってきた米国と湾岸諸国との関係における転換点になっていると強調する。

 仏パリのモンテーニュ研究所(Institut Montaigne)にしばしば寄稿する湾岸地域の専門家アンヌ・ガデル(Anne Gadel)氏はAFPに、「彼ら(湾岸諸国)は異なる中東地域に対処する準備を整える必要性を強く意識している。総じて力の均衡が変化しつつある」との見解を示した。

 UAEは先月、ロシアのウクライナ侵攻を非難した米・アルバニア両国作成の国連安全保障理事会(UN Security Council)決議案の採決で棄権した。

 ロシアのウクライナ侵攻から2週間以上が経過し、エネルギー価格が高騰する中、湾岸諸国は西側からの増産圧力に抵抗している。米政府が8日にロシア産の原油禁輸を発表するなど制裁強化に動くにもかかわらず、サウジとUAEは、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどで構成し、サウジとロシアが主導的な役割を果たす「OPECプラス」との連携を維持すると強調している。