【2月28日 AFP】アフガニスタン人のアジュマル・ラフマニ(Ajmal Rahmani)さんは、ウクライナに安住の地を見つけたと信じていた。だが先週、ロシアがウクライナに侵攻。ラフマニさん一家は祖国を離れて1年足らずで再びわが家を捨て、新たにポーランドへの退避を余儀なくされた。

「戦争から逃げて別の国に来たら、また戦争が始まった。なんて運が悪いのか」と、ウクライナ側からポーランド側に入った国境の町メディカ(Medyka)に着いたばかりのラフマニさんはAFPに語った。傍らでは娘のマルワ(Marwa Rahmani)ちゃん(7)が、薄茶色の犬のぬいぐるみを抱き締めていた。

 国境まであと30キロというところで車が大渋滞にはまり、ラフマニさんはマルワちゃん、息子オマル(Omar Rahmani)くん(11)、妻ミナ(Mina Rahmani)さんと共に歩いてきたという。

 侵攻が始まって4日間で、数十万人がウクライナからポーランド、ハンガリー、ルーマニアをはじめとする周辺諸国へ逃れた。多くはウクライナ人だが、アフガンやコンゴ民主共和国、インド、ネパールなどからの留学生や移民もいる。

 40代のラフマニさんは、カブールの空港で18年間にわたり北大西洋条約機構(NATO)の仕事をしていたが、脅迫を何度も受けたため国外退避を決意した。米軍がアフガンから撤退する4か月前のことだった。

「アフガンでは良い暮らしをしていた。持ち家にマイカー。給料も良かった」が、「車も家も何もかも売り払った。全てを失った」

 ウクライナ行きを決めたのは、受け入れてくれたのが同国だけだったからだ。一家は黒海(Black Sea)に面した港湾都市オデッサ(Odessa)に移住した。

 ロシアのウクライナ侵攻が始まった24日、一家は再び全てを捨てて、ポーランド国境まで1100キロ移動することになった。

 先行きに不安を感じているラフマニさんだが、避難民を温かく歓迎し支援するポーランドのボランティアや当局者らの姿に「力をもらった」と語った。(c)AFP/Bernard OSSER