【1月27日 AFP】米ボストンの病院が、新型コロナウイルスワクチンを接種していない男性患者(31)に対し、心臓移植手術を行わない方針であることが明らかになった。現地テレビ各局が26日、報じた。

 ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(Brigham and Women's Hospital)の広報担当者はAFPに宛てた文書で、同院では臓器移植を受ける上で、コロナワクチン接種は「必須条件」だと認めた。

 同院の移植希望者リストに登録しているこの男性患者は、コロナワクチン接種を拒否している。

 父親のデービッド・ファーガソン(David Ferguson)さんはABCに対し、「(ワクチンは)いわば息子の信条に反している。信用していないのだ」と話した。「これは病院が適用している方針で、息子は接種を拒否しているため、心臓移植リストから除外された」という。

 病院の声明によると、同院は「コロナワクチンを含め、疾病対策センター(CDC)が推奨する複数のワクチンの接種を求めている」としている。

 ニューヨーク大学(New York University)で医療倫理を専門とするアーサー・カプラン(Arthur Caplan)氏はCBSに対し、「どんな移植手術の後でも、必ず免疫を抑制する。新型ウイルス感染症で死亡する恐れがある」と述べ、「臓器は希少であり、ワクチン接種済みで術後生存率がより高い人々が他にいるなら、生存率の低い人には提供しないだろう」と指摘した。

 同院も、同様の理由でワクチン未接種者は移植リストから除外されると説明している。

 ファーガソンさんは、同院に入院中の息子の選択を尊重し、転院を計画している。ただ、容体を考慮すれば「時間との闘いだ」と語った。

 米国では、接種をめぐる政治的な分断などが要因となり、接種完了者は人口の62%にとどまっている。(c)AFP