【1月26日 AFP】サウジアラビアとタイは25日、外交関係の修復を発表した。両国関係は、30年以上前に起きた宝石類の窃盗事件以来、冷え込んでいた。

 1989年、タイ生まれの使用人がサウジの王子の自宅から2000万ドル(約23億円)相当の宝石類を盗んだ。これを発端にバンコクで殺人事件が相次いだ他、国家間の対立にも発展。一連の出来事は「ブルーダイヤモンド事件」と呼ばれている。

 タイのプラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)首相がサウジ首都リヤドを訪問したのに合わせ、両国は25日夜、「外交関係の完全な再樹立」を宣言する共同声明を出した。

 タイはこれまでにも、主要産業である観光業への影響などを考慮し、関係修復を繰り返し模索してきた。

 盗まれた宝石類を、タイの警察幹部が横領したとの疑惑もあり、サウジ側は長年にわたり、タイ警察の捜査に落ち度があったと非難していた。

 タイ警察はその後、宝石類の一部を返還したが、サウジ側は大半が偽物だと主張。希少な50カラットのブルーダイヤモンドを含む盗品の大部分の所在は、今も明らかになっていない。

 サウジは1990年、調査のために実業家をタイに派遣。だが、バンコクでサウジ外交官3人が銃殺される事件が発生した後、実業家も同市内で消息を絶った。

 宝石類を盗んだ使用人は、盗品の大半を逮捕される前に売りさばいていた。窃盗罪で5年間服役し、2016年に出家している。(c)AFP