【1月22日 AFP】政府は新型コロナウイルスを、季節性インフルエンザなど他の呼吸器系ウイルスと同等に扱うべきだ──。こうした見方が、スペインを筆頭に一部の国で勢いを得ている。ただ世界保健機関(WHO)は、このアプローチは時期尚早だと警鐘を鳴らす。

 世界各国の政府や国民が新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)終息を切望する中、流行段階の分類を見直す時期についての議論が活発化している。

 スペインのカロリーナ・ダリアス(Carolina Darias)保健相は、「スペインはこの議論を率いたいと考えている。時宜にかなっていて、必要なことだからだ」と説明。スペインが欧州疾病予防管理センター(ECDC)に対し、コロナ対策の「新たな戦略を検討」するよう要請したことを明らかにした。

 スペインは、こうした議論を先導しやすい立場にある。国内のワクチン接種率は12歳以上で90.5%と、世界最高水準だ。

 だがこの議論は、日常回復を進めたい各国政府と、警戒を怠りたくない医学界との間で意見の相違を引き起こしている。

 スペインの左派政権は、新型ウイルスをインフルエンザと同様、人類が共生可能な「エンデミック(一定の地域で一定の罹患〈りかん〉率や季節性を持って起きる流行)」の感染症に指定するよう積極的に働きかけている。

 新型ウイルスの流行では現在、感染力の強い変異株「オミクロン株」により感染者が急増している一方で、死亡や入院の割合は減っている。多くの国は規制の解除を進め、隔離期間を短縮したり、入国規制を緩和したりしている。

 だが、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は18日、パンデミックは「終息には程遠い」との見方を示し、新たな変異株が今後も出現する可能性が高いと警告した。

 WHOはまた、エンデミックの深刻さを過小評価することにも警鐘を鳴らしている。

 WHOで緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン(Michael Ryan)氏は、世界経済フォーラム(WEF)が主催するオンライン会議「ダボス・アジェンダ(Davos Agenda)」のワクチン公平性に関する円卓会議で、マラリアを例に挙げ、「エンデミックとはそれ自体が良いものではない。永遠にその地に存在することを意味するだけだ」と指摘した。