【1月19日 AFP】中国が2014年以降、海外在住の中国人1万人近くを司法制度の範囲外で、強制的な手段によって帰国させていたことが、18日公表の報告書で明らかになった。

 報告書は、スペインを拠点とする人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ(Safeguard Defenders)」がまとめたもの。その中で同団体は、1万人は「氷山の一角」にすぎない可能性があると指摘している。

 報告書は、警察が国外で活動し、各国で違法活動を行っていると主張している。

 強制帰国については、表向きは習近平(Xi Jinping)国家主席が進める反腐敗運動の一環として、司法制度の枠内で指名手配されている人が対象となってる。

 だが、セーフガード・ディフェンダーズによると、共産党を批判した中国人を帰国させるため、中国に残された親族が嫌がらせをされたり拘束されたりすることがある。

 政府は「キツネ狩り作戦(Operation Fox Hunt)」と「スカイネット作戦(Operation Sky Net)」という二つの作戦を通じ、拉致や嫌がらせ、脅迫といった超法的手段を組み合わせ、本人の意思に反して帰国するよう標的となった人に圧力を掛けていた。

 セーフガード・ディフェンダーズが引用した中国政府の統計によると、過去2年で強制的に帰国させられた人は約2500人に上る。これには、経済犯罪以外の逮捕者や共産党員ではない人は含まれていない。(c)AFP