【1月19日 People’s Daily】2021年12月12日、中国南水北調(南部の水を北部に送り水不足を解消するプロジェクト)東中線1期工事が全面的に開通して7年になる。水利部のデータによると、7年間で、プロジェクトの累計取水量は約494億立方メートルで、受益人口は1億4000万人に達した。黄河の長年にわたる平均流出量で試算すると、南水北調プロジェクトは北部にとって黄河の1年間の流出量の調達に相当する。

 同プロジェクトが完成する前は、黄淮海流域の1人当たりの水資源量はわずか462立方メートルで、全国平均水準の5分の1だった。「中国の水資源の時空分布は不均一で、1人当たりの水資源占有量は低い。プロジェクトは効果的に水資源の分布のバランスを整えた」と、中国科学院(CAS)院士、中国科学院地理科学・資源研究所研究員の劉昌明(Liu Changming)氏は述べた。

 同プロジェクトは北部の水不足の局面を効果的に緩和する。現在、北京市の市街地への給水は7割以上が「南水」、天津市(Tianjin)の中心市街地への給水はほぼすべてが「南水」、山東省(Shandong)には「T」字型の供水網が形成されている。南水北調の水は北部40以上の大・中都市の主要水源となっている。

 これまでのところ、プロジェクト地域の水質は安定を保ち、基準に達している。東線1期工事送水幹線の水質はすべて基準に達し、地表水水質のⅢ類以上の安定を維持している。丹江口ダムや中線幹線の給水は地表水水質のⅡ類以上に安定している。

 南水北調の中線は生態補水を続け、かつてかれていた河道を昔の姿に戻している。「華北の珠玉」と呼ばれる白洋淀(Baiyangdian)は、かつて水量が少なく、水質が悪かった。2018年以来、南水北調の中線は白洋淀への生態補水を継続的に行っており、引き込んだ黄河水や地元ダムの水を合わせると、同エリアの面積は171平方キロメートルから275平方キロメートル程度に回復した。

「通水以来、中線第1期プロジェクトは北部の50以上の河川に70億立方メートル以上の生態補水を継続的に行い、河湖の生態環境の回復を全面的に支援し、生態環境が効果的に改善され、プロジェクトの生態効果が明らかになった」と、中国南水北調集団中線建設管理局の党指導グループメンバー、チーフエンジニアの程徳虎(Cheng Dehu)氏は説明した。

 これと同時に、華北の地下水の水位は徐々に回復している。2020年、華北地区の浅層地下水の水位は前年に比べ全体的に0.23メートル上昇し、これは長年にわたって低下し続けていたものが、初めて回復に転じたことを意味する。北京市平地部の地下水の水位は6年連続で上昇した。2020年末、北京市の浅層地下水の水位は2014年末に比べ2.37メートル回復した。

「南水」が京杭大運河の通航条件を効果的に改善した。現在、運河の黄河以南の航行区間で東平湖から長江までの全線の通航が実現し、1000トンから2000トンの船舶がスムーズに航行できるようになった。港の処理能力は新たに1350万トンに向上した。

 清水の北上につれ、穀物の主要生産地域、エネルギー基地、重要な町とも結びつけた。2016〜2019年の全国1万元(約18万円)GDPの平均使用水量70.4立方メートルで計算すると、約494億立方メートルの「南水」は、受水地域の7兆元(約126兆円)のGDP成長を効果的に支えている。

「南水北調プロジェクトは、豊水の長江流域と水不足の黄淮海流域の相互補完を実現し、中国の水資源利用の総合効率を向上させ、中国の経済・社会の発展構造を改善した」と、中国南水北調集団の関係者は述べた。(c)People’s Daily/AFPBB News