【1月11日 AFP】スペイン北西部で、腹をすかせて食べ物を探していたアナグマが土を掘り返した跡から、古代ローマ時代のコイン209枚が発見された。学術誌「ジャーナル・オブ・プレヒストリー・アンド・アーケオロジー(Journal of Prehistory and Archaeology)」に先月掲載された論文で分かった。

 コインが発見されたのはアストゥリアス(Asturias)州ベルシオ(Bercio)のラケスタ(La Cuesta)洞窟。マドリード自治大学(Autonomous University of Madrid)の論文によると、2021年1月にスペインを襲った暴風雪のさなかに、餌を探していたアナグマがコインを掘り出した可能性が高い。

 洞窟の地面にアナグマが掘ったとみられる穴があり、周囲の土と穴の中にコインがあるのを地元住民が見つけた。

 コインは3~5世紀ごろのもので、計209枚あった。現在のトルコにあったアンティオキア(Antioch)、コンスタンティノープル(Constantinople)、ギリシャのテッサロニキ(Thessaloniki)など「地中海北部と東部で作られ」、ローマやフランスのアルル(Arles)、リヨン(Lyon)で流通していた。1枚だけ、ロンドンのものが含まれていた。

 発見されたコインの量の多さや中世初期への移行期に対する理解が深まると思われることから今回の発見は「異例」だという。

 コインが埋められたのは「政情不安」が背景にあり、特に5世紀にイベリア半島(Iberian Peninsula)北西部へゲルマン系のスエビ(Suebi)人が侵攻したことが関係しているとみられる。(c)AFP